[SAc WEB]SAcが運営するスマート農業情報サイト [SAc WEB]SAcが運営するスマート農業情報サイト

ログインログイン

Facebook

サイト内検索

第38話・ヘソディム成功事例の紹介とそこから考える普及の課題④~圃場診断システム推進機構・對馬理事長の「ヘソディムの話」

第35話から37話にわたり、三重県と群馬県のヘソディム成功事例を紹介してきました。2つの事例は、対象とする作物、病害は異なりますが、成功する条件には共通点が多いのではないかと感じました。そこで今回は、その2つの成功事例に共通する「ヘソディム成功の秘訣」について考えてみたいと思います。

 

 

3. 三重県、群馬県の取り組みから成功する秘訣を考える

 

① 目的の明確化により効率的にマニュアル作成

三重県の『病原菌を減らす』(病気を減らすではない)、群馬県の『使ってもらえるマニュアル』など、目的を明確にすることによって、効率的に短期間で、目指すマニュアルを作成していると思います。

 

② 指導員(県・JAなど)の熱意と連携

何度も繰り返しますが、成功するかしないかは「指導員の熱意」「連携」が必須だと感じます。どんなに良い技術があってもこれらがないと成功しなかったのではないかと感じました。

 

③ 科学的アプローチの徹底による診断・対策の低コスト化、シンプル化

過去の発生データの蓄積と活用(群馬県)、DNA診断技術の活用による病原菌量の測定(三重県)など、科学的アプローチを徹底することにより、診断、対策の単純化、低コスト化ができると考えます。ここでも、圃場毎にデータを蓄積し活用するHeSo+(ヘソプラス) (第26話~29話で紹介)が役立つと考えます。

 

一次予防の徹底

三重県も群馬県も、『病気の出ない圃場作りが低コストな対策である』ことを前提に取り組んでいると感じました。その理由は、三重県では病原菌がいなくなっても圃場診断を継続していること、群馬県でも常に圃場のデータを蓄積していることが挙げられるからです。

 

 


 

以上、4話にわたってヘソディムの成功事例についてご紹介しました。これからも成功事例を集めて、さらに成功する条件を整理して皆さんに情報を提供できたらと思っています。

 


 

■執筆者プロフィール
特定非営利活動法人 圃場診断システム推進機構
理事長 對馬誠也(つしま せいや)

1978年 北海道大学農学部農業生物学科卒業
1980年 北海道大学大学院修士課程 修了
1995年 博士号授与(北海道大学) 「イネもみ枯細菌病の生態と防除に関する研究」
1980年 農林水産省九州農業試験場病害第一研究室
1991年 農林水産省農業環境技術研究所微生物管理科
1995年 農林水産省東北農業試験場総合研究第3チーム
2000年 農林水産省農業環境技術研究所微生物管理科
2001年 独立行政法人農業環境技術研究所農業環境インベントリーセンター微生物分類研究室室長
2007年 独立行政法人農業環境技術研究所生物生態機能研究領域長
2009年 独立行政法人農業環境技術研究所農業環境インベントリーセンター長(2015年退職)
2015年 非営利活動法人活動法人圃場診断システム推進機構理事長
2017年 東京農業大学生命科学部分子微生物学科植物共生微生物学研究室 教授(2022年退職)

2022年 NPO法人圃場システム推進機構内にHeSoDiM-AI普及推進協議会を設立(代表)

現在に至る