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第34話・20xx年の生産者の会話③~圃場診断システム推進機構・對馬理事長の「ヘソディムの話」
第32話から、ヘソディムの最終目標『ヘソディムで土壌病管理を解決すること』に向けて必要だと考えている「新しいことに挑戦する生産者の育成」についてご紹介しています。
第33話に引き続き、『20xx年の農村風景』をイメージした生産者同士の会話例を紹介いたします。
使用しているキーワードはすべて第18話から28話でご紹介していますので、バックナンバーも振り返りながらご覧ください。
20xx年のある農村におけるヘソディム生産者の会話
【生産者の会話3】
Ⅰ.(イノベーション)新しいことに挑戦しようとしているか。
〇生産者A氏
「先日、生産者Bさんが自分の圃場No.5でC病が初めて確認されたと言っていたので、一次予防を徹底するために、「発病株のすぐ抜き取り、抜き取った発病株と土壌を完全に無毒化する」ように助言したら、『この忙しい時に、発病株を抜き取るなんてやってられないよ。発病株が多くなったら農薬処理するつもりだ』といわれた。C病の場合、発病が蔓延してからでは手遅れになることは明らで、結果的に減収して困ることになると思うのだけれど、一次予防の重要性を理解してもらえなくてとても残念だった。」
〇生産者D氏
「一次予防だけでなく、ヘソディムの考え方を理解してもらうことから始めることが良いのではないか。性格的に新しいことに興味を持つ人は、比較的簡単な説明で理解してもらえるかもしれないが、そうでない人の場合は、勉強会や講習会に参加してもらって、徐々に理解してもらうのが良いと思う。」
〇生産者E氏
「わたしもそう思う。イノベーションや「新しいこと」を実践するためには、『これまでの考え方や作業の延長線上で考えないこと』は基本的なこと。今回の場合は、現在行っている作業に新たに「発病株の抜き取り」を追加しようと考えているから、そのような意見がでるのではないか。基本的なことを理解するために、時間をかけて勉強してもらうことが重要だと思う(人材の育成の最大の課題)。」
【生産者の会話4】
Ⅰ.(「AI(人工知能)」に依存し過ぎていないか)主体的に取り組んでいるか。
〇生産者A氏
「HeSo+(ヘソプラス)でB病対策を行っている。今年、ヘソプラスの診断結果に従って防除したが、50圃場中5圃場で発病が多くて減収した。この5圃場は昨年も減収した。ヘソプラスは、この5圃場では使わないようにしたい。」
◯生産者C氏
「ヘソプラスの診断結果は星何個か確認しながら対策を行いましたか。」
◯生産者A氏
「とくに見ていない。星の数は重要ですか。」
◯生産者C氏
「重要ですね。星が少ない場合は、ヘソプラスの中のデータの質や量が不十分なので、出てきた結果はあまり信用できない。あくまでも対策の参考程度に考えて、取り組んだ方が良い。先ほど、昨年も効果がなかったと言ったけど、それなら、この5圃場については、診断結果より発病ポテンシャルは高いと考えて、一ランク上の防除対策をしても良いと思うよ。このあたりは、日頃の観察結果(昨年発病も含む)とAIを総合的に判断して対策を講ずることが必要だよ。AIはデータ量が多くなればそれなりに信頼度も上がるから、効果がないとすぐに使わないというのは良くないと思う。」
〇生産者D氏
「その5圃場は他の圃場となにか違うことがあるのではないでしょうか。圃場観察して何か感じたことはないか。それと昨年効果がなかったことを踏まえて対策を考えてはどうか。ついでに、5圃場共通か、圃場毎に仮説を立てて防除効果がなかった原因を調べておいた方が長期的に考えたら経営上重要なのではないかな。AIは5圃場が他の圃場のようにはいかないことを示してくれたと考えることもできるのではないか。」
〇生産者E氏
「AIは万能ではないから、今回の件は生産者Aさんが少しAIを過信し過ぎていることに問題があるかもしれないね。」
〇生産者A氏
「皆さんの意見を基に、ヘソプラスの星が少ない時には、圃場の状況や前年度の結果などを基に、対策を自分なりに考えてみたいと思います。必要に応じて、圃場毎に仮説を立て、検証して、5圃場に最適なヘソプラスの使い方を習得したいと思います。」
■執筆者プロフィール
特定非営利活動法人 圃場診断システム推進機構
理事長 對馬誠也(つしま せいや)
1978年 北海道大学農学部農業生物学科卒業
1980年 北海道大学大学院修士課程 修了
1995年 博士号授与(北海道大学) 「イネもみ枯細菌病の生態と防除に関する研究」
1980年 農林水産省九州農業試験場病害第一研究室
1991年 農林水産省農業環境技術研究所微生物管理科
1995年 農林水産省東北農業試験場総合研究第3チーム
2000年 農林水産省農業環境技術研究所微生物管理科
2001年 独立行政法人農業環境技術研究所農業環境インベントリーセンター微生物分類研究室室長
2007年 独立行政法人農業環境技術研究所生物生態機能研究領域長
2009年 独立行政法人農業環境技術研究所農業環境インベントリーセンター長(2015年退職)
2015年 非営利活動法人活動法人圃場診断システム推進機構理事長
2017年 東京農業大学生命科学部分子微生物学科植物共生微生物学研究室 教授(2022年退職)
2022年 NPO法人圃場システム推進機構内にHeSoDiM-AI普及推進協議会を設立(代表)
現在に至る