[SAc WEB]SAcが運営するスマート農業情報サイト [SAc WEB]SAcが運営するスマート農業情報サイト

ログインログイン

Facebook

サイト内検索

ブロッコリー生育診断システム開発ストーリーのご紹介

 

法人会員・株式会社スカイマティクスが提供している葉色解析サービス「いろは」の新機能としてリリースされた「ブロッコリー生育診断」。

「ブロッコリー生育診断」は、AIがドローン撮影画像内の花蕾を認識し、サイズ別に集計を行います。集計結果を確認することで、撮影時点の農地において、どの規格のブロッコリーが何%存在するのかを把握することができる機能です。

 

●「ブロッコリー生育診断」の詳細は以前の記事でご紹介しております。

【農トレ】株式会社スカイマティクスが葉色解析サービス「いろは」にブロッコリー花蕾解析機能を新たに実装

 

この「ブロッコリー生育診断」の開発には、SAc一般会員でもある北海道むかわ町の生産者の方からの「ブロッコリー収穫適期判断を効率化できないか」というひとつの悩みがきっかけとなりました。

今回は、生産者の声から生まれた「ブロッコリー生育診断」の開発ストーリーをご紹介します。

 


 

「ブロッコリー生育診断」開発の始まりは、2018年のI Love ファーム日胆様からお問い合わせいただいた「ブロッコリー収穫適期判断を効率化できないか?」というご相談でした。

 

I Love ファーム日胆様は、北海道を主拠点として全国に自社圃場・契約農家を持つ農業法人です。主な作物はブロッコリー、コーン、薬草など。今回ご相談頂いたブロッコリーは主拠点の北海道・日胆で260ha、そのほか北海道・岡山・宮崎・長崎の4拠点で栽培しています。一年を通して切れ間なく産地リレー出荷するため、契約出荷量の確保、管理方法の統一、トレーサビリティ確保を重視されています。

経営理念の一つとして既存の生産者との共存を掲げ、栽培したブロッコリーはあえて地場ではなく遠隔地に出荷することで、既存の農家とは競合せず販路の隙間を埋める戦略をとっています。また将来の課題解決に向けた取組にも意欲的に取り組んでおり、圃場は自社保有ではなく耕作放棄地や遊休地を借りることで農業の新たな担い手を目指し、農業従事者の減少や人材育成を見据え機械による一斉収穫体系の導入などにも挑戦されています。

 

● I Love ファーム日胆の松井様

 

 

ブロッコリーならではの営農上の課題

 

今回のご相談の背景には、ブロッコリーならではの営農上の課題がありました。

ブロッコリーは成長が早く、市場に出回る部分である「花蕾」は、収穫直前には1日で1cm程度成長します。一方、生育が進み過ぎると商品価値がなくなってしまうため、収穫適期を見極めることは非常に重要な要素となっています。

 

従来、I Love ファーム日胆様では収穫のタイミングを見極めるため、農地を歩きながらひとつひとつ花蕾の生育を確認し、収穫のタイミングを判断。収穫適期の花蕾だけを人の手により収穫するという運用をされてきました。しかしながら、農地が広ければその分だけ確認や収穫に時間を要し、工数的にも体力的にも大きな負担となっていました。

 

● 人の手による収穫風景

 

 

開発から実装まで

 

まずは生産現場における収穫予察オペレーションの中でどのような課題があるのか、解析技術がお役に立てる部分はあるのかを綿密に検討・議論しました。その結果「画像解析AIを用いて、農地内の花蕾サイズを計測することができれば、収穫適期の判断が効率化される」との仮説を立て、実証を開始しました。

 

実証では、ドローンで実際に圃場を撮影し、数万点のブロッコリーの教師データを収集。画像解析技術の開発に着手しました。開発の過程では、技術開発と並行して、解析に適した撮影の時間帯やドローンの設定など、最適なオペレーションの条件を模索。現場への技術実装を図るにあたり、実現可能なオペレーションを検討することは極めて重要な要素となりますが、I Love ファーム日胆様にはアイデアの着想を始め、現場実証や解析サービスに関するご評価など、大変なご支援、ご協力を頂きました。

 

約2年間に渡る共同開発体制により、ブロッコリーの生育診断機能を開発し実際にご利用頂ける解析メニューのひとつとして「いろは」に実装することができました!

 

 

導入効果と今後の展開 〜ドローン解析で収穫適期判断×機械一斉収穫へ〜

 

I Love ファーム日胆様ではドローンによる生育診断と並行して、機械による一斉収穫の導入を進めています。耕作放棄地を預かることも多く、人手が少なくてもオペレーションが回る方法の確立が必要なためです。まさに、この機械による一斉収穫に、ドローンによる生育診断結果を活用しています。

 

機械による一斉収穫では圃場単位で一斉に収穫するため、従来の人の目による確認・収穫よりも、さらに収穫時期判断が重要となってきます。昨年度は、収穫適期判断にドローンによるブロッコリー生育診断結果を活用し、生育診断機能の活用に十分に手応えを感じていらっしゃいます。今年度は、「ドローン生育診断」×「機械一斉収穫」の取組みをさらに進めていくとのこと。ドローンオペレーションを作業体系に組み込むなどの改善を重ね、今年度は「収穫適期判断」に生育診断結果を使う比重を増やすという目標を掲げられています。また、将来に向けたノウハウ蓄積や、従業員間の知識共有という観点でも、解析の活用を重視されていらっしゃいます。

 

株式会社スカイマティクスでは、今後さらに解析精度の向上を図り、全国のブロッコリー生産者様の営農・栽培の効率化に引き続き貢献してまいります。

 

(株式会社スカイマティクスHPより引用)


 

株式会社スカイマティクスでは、空からの情報を活用し、農業現場の課題に沿ったサービスを複数展開されております。今回ご紹介したように、現場の方々の「こんなことが困っている…」「こうしたい!」という声と技術を掛け合わせ、新たなサービスの開発に取り組まれています。

 

葉色解析サービス「いろは」は、導入に向けたWEB説明会や無料トライアルのご用意もございますので、ご興味をお持ちの方は一度問い合わせてみてはいかがでしょうか。

 

● 葉色解析サービス「いろは」公式ホームページはこちら

● 参照元:株式会社スカイマティクスHP【開発ストーリー】ブロッコリー生育診断 I Love ファーム日胆様