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ドローンの自動航行技術に重要なRTKとは

 

近年、国や自治体でもドローンの活用を推進する動きがあり、農業分野においても空撮用や農薬散布用のドローンの利活用が進んでいます。

なかでも農薬散布用ドローンの機体は大型で、万が一送電線等に衝突して損傷させてしまうと大きな被害につながってしまいます。作業者や付近の住民に危険を及ぼすような可能性は、使用する上で大きな不安要素です。そうした不安要素を解消するため、現在「RTK」(リアルタイムキネマティック)機能を搭載し、より精度の高い位置情報の取得が可能になる技術をもつドローンが登場しています。

今回の農トレでは、新たな測位技術「RTK」の秘密に迫ります。

 


 

 

農業分野でも活用がすすむ測位技術

従来のGPSとRTKとの違い

 

日常生活の中でカーナビやスマートフォンの地図アプリを使用すると、自分が地球上のどこにいるかという位置情報を知ることができます。

こうしたサービスには人工衛星を用いた「全球測位衛星システム(GNSS)」が使われています。ごく一般的に広く普及している「GPS」はこのGNSSの中の一種で、1990年代から普及し始め、今ではとても身近なものとなりました。

多くの空撮用ドローンには、地図アプリなどに採用されているGPSとほぼ同じ仕組みが搭載されており、機体の位置情報を認識する機能が活用されています。

 

● 従来のGPSの特徴

GPSをはじめとしたGNSSは、1つの受信機(手元のデバイス)が人工衛星から送信された信号を受信し、それをもとに受信機と人工衛星との間の距離を測定することで位置情報を把握することから、「単独測位」と呼ばれます。単独の受信機が最低4つの人工衛星の信号を受信することで各衛星までの距離を測定し、その距離を半径とする4つの球体の交点が計測地点の位置として推定されます。

 

 

GNSSの単独測位には、数m単位の誤差が生じる弱点があります。

技術の発展で誤差は日に日に少なくなっているものの、上空の状況(電離層や対流圏)によっては信号の進む速度が変化することや、衛星の軌道情報の誤差により、取得する位置情報に2m程度の誤差が生じてしまうことが一般的と言われています。

現状ドローンの分野ではGNSSを活用した機体が主流ですが、誤差でドローンがルートから逸れて想定外の方向に飛んで行ってしまったり、近隣の建物に衝突したりするリスクが0ではありません。そのリスクを大幅に軽減させることができる技術として現在活用され始めているのが、次にご紹介する「RTK」です。

 

 

● 新たな測定技術「RTK」とは?

「RTK」とは『リアルタイムキネマティック』の略で、相対測位と呼ばれる測定方法のひとつです。

予め正確な位置が把握できている「基準局」と、ドローンなどの2つの受信機のそれぞれが衛星の位置データを取得し、お互いのデータを組み合わせることでドローン側の位置を相対的に推定します。

それぞれの受信機の間で情報をやりとりしズレを補正することによって、単独測位よりも精度の高い位置情報を得ることができます。

 

 


 

 

RTKの活用で広がる可能性

 

ドローンの高度計算に気圧計が用いられることが多く、操縦時に突然の気流が発生した際には飛行が不安定になることがありました。RTKの技術が活用されたドローンでは、垂直方向の誤差も低減されることから、安定的な高度を保った飛行も可能になります。

自動航行技術の安定性・安全性が格段に向上したことで、農薬散布用ドローンでは、オペレーターが操縦せずとも自動で正確な飛行・農薬の散布ができるようになり、省力化に繋がっています。移動する物体であってもその位置をほぼ正確にリアルタイムで計測できる点が強みのRTKは、既に自動運転トラクターなどにも採用されており、農業分野におけるさらなる活用、現場への実装が期待されている技術のひとつです。

 


 

高精度で位置情報を測定できるRTKは、今後農業分野でもますます活用が広がることが見込まれ、スマート農業の現場実装を加速させる技術のひとつであると考えられています。効率化・安全な作業を目指す次世代の農業にとって欠かせない技術として、RTKを活用した技術の普及が進むことを期待しています。