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みどりの食料システム戦略関連法案が成立
4月22日、農業における環境負荷の低減を目指すみどりの食料システム戦略を推進するための新法(通称:みどりの食料システム法案)が可決、成立しました。
今回の農トレでは、昨年策定された「みどりの食料システム戦略」の概要について振り返りながら、成立したばかりの新法のポイントについてご紹介いたします。
みどりの食料システム戦略とは
みどりの食料システム戦略は、農業の環境負荷低減と生産基盤の強化を目指して、農林水産省が2021年5月に策定した政策方針です。地球温暖化による気候変動や大規模な自然災害、生物多様性の低下など、食料生産を取り巻く環境が大きく変化していることや、SDGsや環境への配慮を重視する世界的な潮流に乗り、持続可能な食料システムを構築することが目的です。
みどりの食料システム戦略では、2050年までに ① 農林水産業のCO2排出量の実質ゼロ化 ② 化学農薬の使用量半減 ③ 化学肥料の使用量3割減 ④ 有機農業を全農地の25%まで拡大 という目標を掲げています。
今後も農林漁業・食品産業を持続的に発展させてゆくために、食料生産から消費までの各段階において環境負荷の低減を目指す具体的な取り組みが工程表として発表されているほか、すでに技術開発や設備導入のための資金サポートが展開されはじめています。
新法のポイント
● 基本理念 ー 環境負荷の低減へ、生産者や食品事業者、消費者らが理解・連携
今回成立した通称「みどりの食料システム法案」の正式名称は「環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律」です。
農産物の生産から消費までの各段階で環境負荷の低減が進むよう、生産者や食品事業者、消費者の理解を深め、今まで以上に連携を強めることを規定しました。
みどりの食料システム戦略で掲げている目標達成のために、化学肥料や農薬の使用量低減、有機農業などの実現に取り組む生産者を、融資や税制で支援する仕組みを創設します。
● 支援の枠組み
環境負荷低減に向けて策定した国の基本方針に基づき、市区町村と都道府県が共同で、具体的な取り組み内容(環境負荷低減へ実践する営農方法や、生産された有機農業などの流通・消費の方法)を盛り込む基本計画を作成します。自治体が作成した基本計画に則って取り組む生産者を都道府県が認定し、施設や農機を整備する際に税制や投融資で支援します。一方、自治体での基本計画の作成は任意とされているため、基本計画の作成を国がいかに支援するかが課題とされている状況です。
● 消費者の努力義務として、環境に配慮した食品の選択を規定
農業現場での環境負荷低減の実現にむけた懸念点のひとつに、生産コストの増加が挙げられますが、農林水産省では「生産した有機農産物の需要をいかに確保するか」が重要になると捉えています。新法の中では、学校給食での有機農産物の利用促進を念頭に教育分野との連携を求めているほか、消費者へのわかりやすい表示の検討を進め、消費者は有機農産物など環境に配慮した農産物を選択するように努めなければならないことなどを規定しました。
SAcでは、農業関係者の皆さまにとって有益な情報をお届けすべく、引き続き最新の農業情報に着目し、情報発信に努めてまいります。
● SAc WEBでも「みどりの食料システム戦略」について過去に紹介しております。各目標達成のために実現を目指す取り組みについてなど、詳しくはこちらをご覧ください