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みどり戦略の実現に向けた温室効果ガス削減の取り組み

近年、地球温暖化によって記録的な大雨や異常気象が頻発し、農業をとりまく環境が大きく変化しています。

今回の農トレでは、地球温暖化の要因とされる温室効果ガスを削減するために農林水産省が取り組む実証事業や、農業者が実践できる環境に配慮した栽培方法についてご紹介いたします。

 


 

温室効果ガス削減の「見える化」実証事業

農林水産省によると、日本の温室効果ガス排出量約12億トン(2019年度)のうち、4%ほどにあたる約4750万トンが、農林水産分野からの排出量であると言われています。2021年5月に策定された「みどりの食料システム戦略」では、目標のひとつに「2050年までに農林水産業のCO2ゼロエミッション化の実現」が掲げられており、今後は今まで以上に地球環境に配慮した農業を展開していくことが求められています。

農林水産省では現在、みどりの食料システム戦略に基づく取り組みの一環で、生産者の環境負荷低減の取り組みを「見える化」する実証事業をおこなっています。農産物の生産過程における温室効果ガスの削減率を3段階の星の数で示し、消費者が地球環境に優しい農産物を選択できるように整備が進められています。

 

 

※ 農林水産省ホームページより

 

「見える化」実証 今年度の対象23品目

※ 農林水産省ホームページより

「見える化」実証に取り組む生産者は、農林水産省ホームページ上に公開されているExcelファイルにて、1年分の栽培データから温室効果ガスの削減率を算定できます。実証にご興味をお持ちの皆さまは、こちらをご確認ください。

 

 

 

温室効果ガス削減に有効な主な栽培方法

農林水産省が温室効果ガス削減に対して推奨している栽培方法をご紹介します。記事をご覧の農業者の皆さまも、無理のない範囲で環境に優しい農法を導入されてみるのはいかがでしょうか。

 

① 水田の効果的な水管理(中干し期間の延長)

水田土壌内に存在するメタン生成菌が、稲わらなどの有機物を分解することにより発生するメタンは、CO2 の約25倍の温室効果を持っています。メタン生成菌は酸素の少ない嫌気性環境で活発に活動するため、水稲栽培において通常行われる「中干し」の過程で土壌を乾燥させて酸素を供給することで、メタン生成細菌の活動を抑えることができます。実際に、中干しの期間を7日間延長することで、メタンの発生量を3割削減できることが確認されています。

 

② バイオ炭の施用

バイオ炭とは、木炭や竹炭などの有機物(バイオマス)を原料とした固形の炭のことです。バイオ炭の原料となる植物は、成長過程で二酸化炭素を吸収して多くの炭素を含んでおり、加熱して炭化させることでその炭素を炭の中に固定することができます。バイオ炭中の炭素は分解されにくい状態のため、農地に施用することで大気中のCO2を土壌中に貯めることができるほか、土壌の透水性、保水性、通気性の改善などに効果を示します。

 

③ 暖房等での化石燃料の使用削減

施設栽培の燃料として木質バイオマスチップを活用する、栽培の工夫で冬期の暖房利用を減らす、などの取り組みで大幅に温室効果ガス排出削減が期待できます。

 


 

【関連リンク】

温室効果ガス削減の「見える化」実証
●  Jクレジット制度
北海道「クリーン農業」