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第54話・キャベツ根こぶ病マニュアル(鹿児島県版)の紹介①~圃場診断システム推進機構・對馬理事長の「ヘソディムの話」
ヘソディムの話では、キャベツ根こぶ病のヘソディムマニュアルに関して、すでに、ヘソディムに関連するプロジェクトで作成された3県のマニュアル(三重県版(第5話)、神奈川県版(第46話)、熊本県版(第50話))を紹介してきました。
今回は、ヘソディム関連プロジェクトに参画していなかった鹿児島県が開発した、キャベツ根こぶ病のマニュアル(鹿児島県版)を紹介します。
担当者曰く「ヘソディムを意識して作成した」そうで、ぜひ見ていただけたらと思います。
本マニュアルのように、ヘソディムプロジェクトに参画していない研究者らにより作成された例としては、すでに第44話・第45話でダイズ黒根腐病マニュアルを紹介しています。
また、マニュアル作成だけでなく、プロジェクトに参画していない研究者らによる成功例として、第47話で山形県のトルコギキョウ立枯病を紹介しました。
ヘソディムに対する関心が、広がりつつあると考えています。
1.キャベツ根こぶ病マニュアル(作成:鹿児島県農業開発総合センター)の紹介
(情報提供:鹿児島県農業開発総合センター 西 八束氏)
マニュアルのタイトルは、『キャベツ根こぶ病の発病リスクに応じた総合防除対策マニュアル』です。以下、マニュアルに沿って紹介します。
1) この様な症状を見つけたら、要注意
『根こぶ病は一旦ほ場に侵入すると撲滅は困難』
『前作での発病の有無やほ場での広がりを確認 ⇒ 発病レベルを把握して総合防除対策を!』
まず冒頭で上記の文章があります。まさに、ヘソディムの基本的考え方を示していると思います。
特に、一旦ほ場に侵入すると『撲滅は困難』という事例は、多くの土壌病害で経験済みです。このことは、本シリーズでお話しているように、ある程度発生してから防除対策を考える、従来の二次予防重視のカレンダー防除には限界があることを示しています。
また、タイトルでは「発病リスク」を考慮した防除となっていますが、従来(ヘソディム以前)の防除マニュアルでは、仮に発病後の程度に応じた対策はあっても、すべての圃場(健全圃場を含む)の診断(発病リスクを評価する)を前提にしている点でヘソディム的ということができると考えます。
2) 根こぶ病の県内の発生地域、発生原因
・発生地域
県内の平成28年、30年の発生(図参照)から、県本土全域に拡大傾向が見られています。
・キャベツ根こぶ病菌とは
マニュアルには必須の項目ではありますが、根こぶ病菌について、分類、生活環(休眠胞子で土壌中に生存⇒発芽して根毛に感染⇒感染後根こぶ形成⇒根こぶが腐敗して土壌で生存)、伝染経路(土壌、水)等をわかりやすく解説しています。
・根こぶ病の防除が困難な理由
以下の図のように5項目が挙げられています。
根こぶ病では通常言われていることですが、ヘソディムでは、これらの情報から一次予防ではどのような対策が必要かを考えることが重要です。
次に、キャベツ根こぶ病菌が他のアブラナ科植物にも感染することを示しています。つまり、近隣圃場でこれらの作物が栽培されている場合、その圃場の病原菌が水、土を通してキャベツにも感染することを示しています。また、アブラナ科植物としては雑草のなずな(ぺんぺん草)もあります。休耕地などでこれらの雑草が生息している場合には、根こぶ病菌が増えている可能性があるため、日頃から雑草の管理が必要です。
次回も引き続き、キャベツ根こぶ病のマニュアル(鹿児島県版)の内容をご紹介します。
公開をお楽しみに。
■執筆者プロフィール
特定非営利活動法人 圃場診断システム推進機構
理事長 對馬誠也(つしま せいや)
1978年 北海道大学農学部農業生物学科卒業
1980年 北海道大学大学院修士課程 修了
1995年 博士号授与(北海道大学) 「イネもみ枯細菌病の生態と防除に関する研究」
1980年 農林水産省九州農業試験場病害第一研究室
1991年 農林水産省農業環境技術研究所微生物管理科
1995年 農林水産省東北農業試験場総合研究第3チーム
2000年 農林水産省農業環境技術研究所微生物管理科
2001年 独立行政法人農業環境技術研究所農業環境インベントリーセンター微生物分類研究室室長
2007年 独立行政法人農業環境技術研究所生物生態機能研究領域長
2009年 独立行政法人農業環境技術研究所農業環境インベントリーセンター長(2015年退職)
2015年 非営利活動法人活動法人圃場診断システム推進機構理事長
2017年 東京農業大学生命科学部分子微生物学科植物共生微生物学研究室 教授(2022年退職)
2022年 NPO法人圃場システム推進機構内にHeSoDiM-AI普及推進協議会を設立(代表)
現在に至る