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第27話・さまざまな灰色かび病〜(1)豆類の灰色かび病 後編
〜農学博士・児玉不二雄の植物の病気の話
前回(第27話・さまざまな灰色かび病〜(1)豆類の灰色かび病 前編)の続きです。
《防除のポイント》
被害茎葉は処分し、圃場の排水を促進し、過繁茂を避けるため施肥量に注意しましょう。発病好適条件である降雨の多い低温湿潤天候では、開花1週間後に1回目の農薬(殺菌剤)を茎葉に散布し、その後7~10日おきに計3回散布すると菌核病も同時に防除できます。つまり、灰色かび病を適切に防除すれば、菌核病も防除できるということです。
《菌核病と灰色かび病:類似点・相違点》
この病気は、前回(第25話)の菌核病との類似点が多いので整理しておきましょう。
●茎、葉柄の症状
大形斑点、斑紋(=まだら模様)を生じ、ときに茎を取り巻く
写真3:白色綿状のカビが生じる⇒菌核病
写真4:灰褐色のカビが生じる⇒灰色かび病
▲写真3 純粋培養:菌核病菌
▲写真4 純粋培養:灰色かび病菌
●莢の症状莢の先端から腐敗する
写真5:水浸状に軟腐、白色綿状のカビを生じる⇒菌核病
写真6:水浸状に軟腐、灰褐色のカビを生じる⇒灰色かび病
▲写真5 アズキ灰色かび病:莢の症状
▲写真6 インゲンマメ灰色かび病:莢の症状
今回のキーワード:花弁感染、菌糸発芽
■執筆者プロフィール
児玉不二雄 Fujio Kodama
農学博士・(一社)北海道植物防疫協会理事。北海道大学大学院卒業後、道内各地の農業試験場で研究を続け、中央農業試験場病理科長、同病虫部長、北見農業試験場長を歴任。2000〜2014年まで北海道植物防疫協会会長を務める。
45年以上にわたって、北海道の主要農産物における病害虫の生態解明に力を尽くし、防除に役立てている植物病理のスペシャリスト。何よりもフィールドワークを大切にし、夏から秋は精力的に畑を回る。調査研究の原動力は、“飽くなき探究心”。
※本コラムの内容は、2009年よりサングリン太陽園ホームページ 「太陽と水と土」に連載しているコラムを加筆・修正したものです
※写真:清水基滋氏、谷井昭夫氏、著者