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食料・農業・農村基本法改正のポイント
農林水産省は、1999年に施行された「食料・農業・農村基本法」に基づいて農業政策を行っていますが、施行から20年以上が経過し食料調達をめぐる環境が変化したことを受け、法改正の議論を行っています。農林水産省の食料・農業・農村政策審議会は9月11日、基本法の見直しに関する最終取りまとめを決定し、農林水産大臣に最終答申しました。政府は今後検討作業を進め、来年の通常国会で25年ぶりの法改正に踏み切る方針です。
今回の農トレでは、基本法見直しのポイントについて、答申の内容をもとにご紹介いたします。
食料・農業・農村基本法 見直しの背景
食料・農業・農村基本法は、農政の基本理念や政策の方向性を示す法律で、①食料の安定供給の確保、②農業の有する多面的機能の発揮、③農業の持続的な発展 ④農村の振興 を理念に掲げています。昨今、ロシアによるウクライナ侵攻に加えて、地球温暖化や世界の人口増加など、制定当時は想定していなかった事態が相次ぎ、食料安全保障に対する課題が浮き彫りになってきています。このため農林水産省では、基本法を検証し見直しに向けた議論を行ってきました。
見直しのポイントは大きく5つ
食料をめぐるさまざまなリスクが高まっていることを受け、農林水産省では「国民一人ひとりの食料安全保障の確立」を基本法見直しの軸に設定。最終答申では、基本法見直しによる対応について以下の着眼点で言及がなされました。
①食料安全保障の強化
平時から国内の生産基盤強化に向けた施策を講じ、食料自給率・自給力の向上を目指すとともに、すべての消費者に十分な食料の供給が行われるようにフードバンクや子ども食堂等の支援が強化されます。また、食料危機時に生産転換や流通制限を指示する体制づくりも検討が進められます。
②再生産に配慮した適正な価格形成の実現と国民理解の醸成・行動変容
― 適正な価格形成の実現
上昇している生産コストが農産物価格に反映されづらい実態を踏まえて、適正な価格形成に向けた仕組みの構築が新たに進められます。
―国民理解の情勢・行動変容に向けた施策の拡充
消費者が国産農畜産物を積極的に選ぶことによる「食料自給率の向上」を目指し、消費者の努力を呼びかけられるとともに、学校教育等の中に農業が果たす役割について学ぶ機会が盛り込まれます。
③農業の持続的な発展に関する施策
人口減少が続く中で食料を安定供給するために、生産性の高い農業経営の育成に向けた取り組みが進められます。具体例には、農地の適正利用・集約化やスマート農業の推進、DX化等が挙げられています。
④農村の活性化、都市農業の振興
人口が減少し、集落の存続や農業インフラの保全が困難な現状を受け、都市からの移住推進、半農半Xなど農業関連人口の増大に向けた施策が講じられます。
⑤JAなど関係団体の役割強化
JAをはじめとする食料・農業・農村に関する関係団体・地方公共団体が連携を強化し、その役割発揮に必要な施策が講じられます。
詳しくは、農林水産省ホームページをご確認ください。