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ハウス内の猛暑を軽減!
吹き付け式遮光剤『ファインシェード』を
ドローンで空中散布してみた
暑くなってくると、施設園芸の生産者を悩ませるのが、強い光線による作物の「焼け」や高温による花卉類の「奇形化」です。2019年5月には北海道東部で観測史上初となる39.5℃を記録するなど、予測できない近年の猛暑への対策は、ますます重要な課題となってきています。
高温対策としての遮光資材には、フィルム、シート、ネット等さまざまな種類がありますが、アキレス株式会社から発売されている吹き付けタイプの遮光剤『ファインシェード』なら手軽にハウス内の温度上昇を抑えることができます。今回は北海道の農家による、ドローンを使ったテスト噴霧の様子もご紹介します。
吹き付けるだけ!簡単遮光の『ファインシェード』
『ファインシェード』は農業用被覆資材(農ビ・農PO)用の吹き付け式の遮光剤です。原液を十分に攪拌した後、水で8倍に薄めてよく混ぜ、被覆資材の表面が乾燥していることを確認してから(※1)、ハウスへ噴霧器等で吹き付けます。
十分に乾燥すると、被覆資材表面に白い膜が形成されますが、この白い膜によってハウス内の温度が下げられ、作物の「焼け」を抑制し、ハウス内で作業する人の負担を軽減することができます。1缶(標準タイプ8.8リットル)での塗布可能面積は800~1000㎡で、約20〜30%の遮光率が得られます。
白い膜は、時間とともに雨などで自然に落ちていくので、落とす手間もありません。1カ月以内を目安に落ちる短期タイプと、2〜3カ月を目安に落ちる標準タイプ、4~5カ月を目安に落ちる長期タイプの3つのタイプがあり、栽培スケジュールに合わせて選べます。
このように『ファインシェード』は、吹き付けるだけの簡単な作業でハウス内の温度上昇を抑えられることができます。しかし、いくら吹き付けるだけとはいっても、原液を攪拌(かくはん)したり、水で8倍に薄めたり、噴霧器を手に持って何棟もあるハウスに吹き付ける作業を考えると、まだまだ労力も時間も必要とします。ハウスの形態によってはハウスの上に登って吹き付け作業を行う必要があり、危険性も伴います。
※1 降雨時での使用は避けてください。
ドローン専門タイプの遮光剤を開発
この『ファインシェード』の良さを生かして、より簡単に、短時間で吹き付ける方法を考えた結果、ドローンを活用して吹き付けるタイプの開発に至りました。
近年ドローンは農業においても急速に利用が進み、農薬や肥料散布、空中撮影による栽培管理等、さらなるスマート農業への活用が期待されています。そこに着目して、ドローンを使ってハウスの上から簡単に噴霧できるドローン専用タイプの『ファインシェードスカイ』(試作品)が生まれたのです。
一般発売の前に、間口7.2m×50mのハウスを46棟所有し、毎年5~10月の花卉栽培において遮光資材を使用する株式会社JAKEの代表取締役・森田祥伸さん(北海道岩見沢市)に新製品のテスト噴霧に協力してもらい、その効果を確かめました。
『ファインシェードスカイ』は従来の『ファインシェード』と異なり、原液をよく攪拌した後は水で希釈せずに、そのままドローンのポンプ容器に移し替えてドローンから噴霧します。
今回のテスト噴霧では、50mの長さのハウスで片道20秒(時速10kmの少しゆっくりとしたスピード)で2往復して実施した結果、従来の『ファインシェード』と同様に、約30%の遮光率が得られました。『ファインシェードスカイ』は液ダレしにくいという特長を持つので、ドローンの使用により、噴霧器を使って人力で行うのと比較して、よりまんべんなく吹き付けることができました。
さらに噴霧にかかる作業時間も短くなるという結果も。1缶8リットルで約800㎡を10分程度の時間で噴霧することができます。3000㎡なら人力での遮光剤吹き付け作業で3時間以上かかるところを、30〜40分(ドローンのセッティング時間等を除き)で噴霧が可能なので、余った時間で別の作業が行えるなど、作業の効率化にも貢献します。
『ファインシェードスカイ』はまだ試作段階ではありますが、スマート農業の一環として地球温暖化による高温化対策、猛暑対策として少しでも生産者の役に立てるよう、本格上市販売に向け商品開発が進められています。
参考:アキレス株式会社(東京都新宿区北新宿2-21-1 新宿フロントタワー)
※テキスト、画像はマイナビ農業より転載。