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ひと飛び15分で1ヘクタール!
薬剤散布の効率アップに貢献
複数のプロペラで空中を舞う“ドローン”をご存知でしょうか。最近ではポケットサイズも登場し様々なアングルから動画や写真を撮れることで評判を呼びましたが、産業用途として広く活用されているのも見逃せません。TVや映画に見られる俯瞰シーン。その多くの空中撮影は、今やヘリコプターをチャーターすることなく、ドローンを利用して撮られているのです。当然農業への活用にも期待大というわけです。特に大規模農場であればあるほどその効率向上への貢献度は大きいでしょう。
ヤマハ産業用ドローンYMR-08
最新鋭モデルYMR-08
初期の試作モデル1983年製RCASS
現在活躍中の無人ヘリコプター(写真はFAZER R)
ヤマハ発動機は、二重反転ローターを採用した産業用無人ヘリコプターの研究開発を1983年から始めた歴史を持っています。農業で活用する薬剤散布の新しい方法の模索に協力していたことがその始まりでした。模型ヘリコプター業界のヒロボー㈱と協力体制を敷き、1987年にはR-50/エアロロボットが開発されました。何度も実証実験と熟成が重ねられ、市場への本格導入は1990年のR-50(L12)からです。
以後光ファイバージャイロを用いた姿勢制御装置「YACS(Yamaha Attitude Control System)」の導入等着実な進化を重ね、約1000台のR-50が普及しました。そして1997年登場のRMAXを経て、2013年には「FAZER」という最新鋭機をリリース。翌年には進化系の「FAZER R」も登場しています。
そして次代の新商品として昨年投入されたのが、産業用ドローン(ヤマハではマルチローターと呼ばれる)YMR です。今回ご紹介するのはその最新鋭モデルの「YMR-08」。2018年6月から限定販売開始(本格発売は今秋の予定)です。値段は機体送信機とバッテリー2パック・充電器・充電ケーブルのセットで275万4000円(散布装置は別売)です。
農薬散布の負担が大幅に軽減
YMR-08を活用すれば、8リットルの薬剤を搭載し4メートルの散布幅を確保しながら15キロ(毎時)のスピードで飛行し、1ヘクタールのスペースを15分で散布できる能力を備えているのです。人が背中に薬剤散布機を背負って歩きながら噴霧する作業と比較してみましょう。散布幅はせいぜい1メートル程度。歩行速度は2~3 キロ(毎時)程度でしょうから、おおよそ20~30倍の効率を稼ぎだせる計算になるわけです。作業時間は大幅に節約でき、余ったその時間は他への自由な使い道が広がります。
機体の幅は2.2メートル弱、全長は2メートル弱、そして全高は約0.7メートルあります。収納時は少し小さくなりますが、幅は1.8メートル、長さは60センチメートル 程度になり軽トラックやワンボックスバンで運搬可能です。色々な付属品を装着しても、24.9キログラム以下の重量なら離陸可能という性能を持っています。散布装置としては、最大タンク容量は10リットル。散布ノズル数はふたつ。散布幅は前述の通り4メートル。そして散布速度は10~20キロ(毎時)となっています。
モーターではなくパワフルなエンジンを搭載し飛行及び作業能力で勝るヘリコプターのFAZER-Rはおよそ1300万円。YMR-08が比較的に導入しやすい価格である点も注目されています。
二重反転による気流は効率の良い噴霧にも貢献。噴霧幅は4メートルを確保。
薬剤を作物の根元まで確実に噴霧することにもこだわって開発。その特徴的メカニズムが二重反転ローターの採用にあります。機体飛行のためにプロペラを回転させていますが、機体下に強い下降気流を生じさせることで、薬剤効果を高め作物に対してくまなく噴霧できるように造られています。前後進いずれでも同様な散布品質を確保しているそうです。
ディスプレーも一新された送信機
機体にはLEDのカラーランプが光り作業状態を示します。送信機はワンパネルのモノクロ液晶ディスプレーが採用されていて、様々な情報が判りやすく表示されます。以前、無人ヘリコプターの操縦はそれなりに熟練を要すと言われていましたが、いまでは誰でも簡単にコントロールができるようになっています。それはドローンタイプになってさらに安定性が増し、飛行挙動にも自由度が増しているそうです。農地の形状に合わせて地上から噴霧開始と停止を指示しながら飛行するだけで、高品質な薬剤散布作業が高効率で達成できてしまうのです。
これまで培われてきた産業用無人ヘリコプターの制御技術は、YMRシリーズにも活かされながら、さらなる進化を遂げています。バッテリーの性能向上もしかり。さらに安定飛行の上で有利と言われるYMRは、地上で扱う送信機の操作もどんどん親しみやすいものになっていきます。GPSの搭載を考慮すれば、ある程度自動飛行も可能となり、予め設定されたプログラミングにより、文字通りの無人飛行や薬剤噴霧のお任せ制御も夢では無いのです。
さらに、ヘリコプターよりも機体がコンパクトである点も見逃せないチャームポイントです。トラックやバンに積載して目的地まで搬送しやすいというメリットもあり、今後YMRの有利性がクローズアップされていくことは間違いないでしょう。
※テキスト、画像はマイナビ農業より転載。