Report.6 株式会社マイナビ
農業の未来を生み出すサービスを。
変革を目指す全ての人のために、繋ぎ役として情報を発信する。
株式会社マイナビ 執行役員
農業活性事業部 事業部長
池本 博則
2017年より農業の総合情報サイト「マイナビ農業」を立ち上げ、本格的に農業参入。日々、農業、地域の活性化に向けた取り組みを実現するために、土いじりから講演活動まで日本全国を奔走中!
農業関係者が繋がる“寄合所”をつくりたい。
2003年に株式会社マイナビに入社し、以来、マイナビの基幹事業である就職情報事業で、国内外の大手企業の採用支援を担当していた池本さん。2016年12月に執行役員に就任し、同時に地域活性を担う事業部の創設を任されます。地域を盛り上げる取り組みを支援しながら、農業情報総合サイト「マイナビ農業」を開設し、2018年7月には本格的に農業参入も果たしました。
「地域活性と向き合ったときに、最初に取り組みたいと思ったのが農業でした。人口流出が課題になっている地域では、農業の担い手問題も深刻でした。また、都心の人が農的な暮らしを求めて移住するケースも見受けられ、地域活性と農業活性は密接な関係にあると感じたのです」
ところが農業のマーケットを探っていくと、農業界にも課題があることが見えてきました。次世代に通用する農業を模索する人がいる一方、そうした人々を繋ぐものがなく、情報も散漫になっていると感じたそうです。
農業にまつわるさまざまな情報を束ねて発信することで、人が繋がり、新しいアイデアやネットワークが生まれる場所“みんなの寄合所”になりたい――。そんな想いで総合情報サイトを立ち上げ、1年半で国内最大規模の農業情報サイトへと成長させました。
WEBにとらわれず、あらゆる参入可能性を模索。
池本さんは、WEBサイト以外にも多方面でサービスを展開し続けています。農家や自治体の担当者に話を聞くなかで必要だと感じたことや、マイナビに期待されていると思ったことはスピード感をもってサービス化しています。
農業法人や自治体が、新規就農を目指す人に直接説明ができる就農説明会「就農FEST」をはじめ、農業の最新情報と人材交流が生まれるイベント「NEXT AGRI PROJECT」、食と農に関するセミナー「ノウラボ」、農家を応援するクラウドファンディング「クラマル」など、農に関係する人口を増やすサービスを多数リリースしました。2020年からは、日本全国の自治体に向けたフリーマガジン「AGRI+(アグリプラス)」の発行も企画しているそう。
「これからも農業において、おもしろいことを一緒に取り組んでみたいと思っていただけるような事業を発信したいと思っています」(池本さん)
2019年9月に開催された「NEXT AGRI PROJECT」の様子
基幹事業の人材にも着手。農家の人口解消を目指す。
今後は、マイナビの基幹事業である人材事業にも着手します。2019年9月には農業を始めたい人と農家を繋ぐスマホアプリ「農mers(ノウマーズ)」を本格始動。リリースから1か月で1,000件以上の登録があり、2019年のグッドデザイン賞にも選ばれるなど早くも話題になっています。
農業に対するハードルを下げ、人手不足の解決を目指す「農mers」
「農家の平均年齢は66.6歳(農水省「2018年農林業センサス」)と深刻な高齢化を迎え、数年後には大幅な就業人口の減少が予想されています。私たちが、独自に全国の農業者に聞き取りをしたところ、収穫期などの決まった期間において特に人が不足していることが見えてきました。また、担い手不足や人材が定着しない理由として、金銭的負荷が大きい、農業技術が継承されにくい等のハードルがあることが分かりました。
こうした背景から、農繁期の農家を手伝うことで気軽に農業に触れる機会を作ることを目指し、サービスを開始しました。将来的には、短期的な労働力不足の解消に留まらず、後継者の創出にも貢献したいと考えています」
農家は手伝って欲しい仕事内容を登録し、農業を始めたい人は希望条件や自分のスキルを登録します。興味のある農家を見つけたら、チャットで具体的なやりとりができます。登録や利用は完全無料で、アプリをダウンロードすれば誰でも気軽に始めることが可能だそうです。
「マイナビ農業は5年後、10年後の農業になくてはならないインフラとなり、農業の新しいスタンダードをつくります」
農家、自治体、JA、地域住民……多くの関係者を巻き込み、池本さんはこれからも農業の変革を進めていきます。
【参考リンク】
マイナビ農業:https://agri.mynavi.jp/
農mers:https://noumers.jp/
就農FEST:https://agri.mynavi.jp/fest/