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Report.7 北海道ハイテクノロジー専門学校

スマート農業技術で未来の農業を支える人材を養成する。
自ら課題を捉え、考え、仲間と議論を重ねる環境をつくりたい。

 


 

北海道ハイテクノロジー専門学校

AIスマートアグリ学科 学科長

母坪研巳さん

1998年に生命工学技術科の教員として勤務開始。

雑草も含めて植物が大好き。

 

 

AIスマートアグリ学科 担当教員

伊藤透さん

2005年より専任教員として勤務開始。

趣味はおいしいものを食べること。

 

 

来春新設されるAIスマートアグリ学科について、母坪先生と伊藤先生にお話を伺いました。

 


 

地域が望む人材を養成する。それが専門学校のあるべき姿。

 

1988年、恵庭市に開校した北海道ハイテクノロジー専門学校。当時、市には街づくりにバイオテクノロジーを取り入れる構想があり、工場や研究施設の誘致を進めていました。それらの施設で働く技術者を養成する必要があると考えた恵庭市は、バイオテクノロジー関連の学科があった滋慶学園に対し、専門学校の開設を要請。地域が望む人材を養成して社会へ輩出していくことは専門学校の果たすべき役割である、という学園としての基本方針から、この要請に応じて生命工学技術科と人工知能科の2学科で開校するに至りました。

 

 

水稲や野菜類の作付けが多く、農業がさかんに行われている恵庭市ですが、スマート農業の普及はまだ進んでいません。現在、市には先々を見据えてスマート農業をもっと推進したいという考えがあります。この度、同校で2021年4月に道内初となるスマート農業を学ぶ「AIスマートアグリ学科」の新設を決めた背景にも、そんな考えをもつ市からの求めがありました。学科新設にあたり、学科長に就任する母坪先生は「誤解を恐れずに言うのであれば、楽して儲かる農業をスマート農業で目指したいと考えています。将来、そこに寄与できる人材を養成したいですね。」と展望を語ってくれました。農業技術を身につけることができる教育機関は既に存在していることから、同校ではスマート農業の発展に寄与できる人材の輩出にフォーカスしてカリキュラムの構築を進めています。

 


 

“MALS”で考え、“MALS”で議論する。

 

AIスマートアグリ学科では、AIやICT、ドローンなどのスマート農業と関連性の強い内容から、試験圃場を使った栽培実習や農産物の流通、加工などに至るまで「広く、まんべんなく」学ぶことができるカリキュラムが予定されています。効率的な農業で生産者の省力化に役立てるのがスマート農業を実践する1つの目的なのであれば、特定の分野だけ詳しいよりも広く応用がきく方が生産者を手助けすることができると考える母坪先生。学科での学びの姿勢について「学生は各業界で実際に働く方からさまざまな知識を教えてもらいますが、興味をもった分野に特化していくのではなく、それらをどのように組み合わせると何が出来るようになって、それによって何が解決されるのかを主体的に考えてもらいたいと思います」と教えてくれました。

 

この学びを促すために、同校では新学科で使用する『恵み野アクティブラーニングスタジオ(通称MALS:マルス)』という学習環境を新たに整備する計画があります。1つ1つの授業ではできるだけ教科書を使用せず、学ぶ素材は学生自身が発見するスタイルが採られるAIスマートアグリ学科。母坪先生と伊藤先生は「未実装の先進技術や、海外でのスマート農業情勢について学生が自ら情報をつかみ、それを恵庭の生産者がこれからの営農において役立てるためには何が必要で、どうすれば達成できるのかを考え、最終的には企業に提案できるのが理想。そのために、学生同士で知恵を出し合い、議論を積み重ねて、考えを深めることを後押しするオープンな教室がMALSです。ここから新しいアイデアが沢山生み出されてほしいですね」と期待を寄せます。「勉強は突き詰めると自分1人でしかできないもの。しかし、自身が勉強していることが社会の役に立つものなのか、もっと違う展開があるのではないか、などの気付きを得るためには誰かと一緒に取り組む必要があります」と話す母坪先生の思いが、このMALSには注ぎ込まれています。

 

●MALSでは、壁一面にホワイトボードが巡らされ、小型のプロジェクターも複数台常設。いつでも学生同士が考え、議論し、プレゼンできる“入れ物”になる予定です。

 


 

思い描く未来の北海道農業。

 

農林水産省が発表している平成30年度の日本の食料自給率は、カロリーベースで37%程度でした。一方で、食品が大量に廃棄される食品ロスの課題も抱えています。こういった状況を踏まえて「これから入学してくる学生には将来の食糧事情も考えられるように教育していきたい」と母坪先生は言います。AIスマートアグリ学科で学ぶスマート農業によって安定した食料供給を目指すとともに、出荷前に廃棄されるものも含めてロスを少しでも削減するために6次産業化実習もカリキュラムに加わっています。6次産業化の授業では、生産者や食品加工業者ともタイアップして学生が企画する「ハイテクブランド」の加工品を生み出し、販売まで経験する構想があります。「今後、北海道が食料供給に担う役割はより大きくなりますし、スマート農業によって効率的で省力化された農業を実践するとともに、知識や経験という見えないものが数値化され、見えるようになってくることで、誰にでも管理できる農業になっていってほしい。そして『北海道だからこそ』という特徴的な存在をより押し出していくべきではないかと思っています」と伊藤先生は未来の北海道農業について考えていました。

 


 

学科での学びを活かして活躍してほしい。

 

AIスマートアグリ学科で学ぶ学生の進路は、農業への従事、スマート農業技術のサプライヤー、そして食品関連企業への就職などが想定されています。しかし、そういった業界に進まなくても学校で経験する学びの手法を活かして社会で活躍してほしいと母坪先生と伊藤先生は考えています。「もちろん、卒業後は農業業界で活躍してくれるのが一番嬉しいですが、どんな業界に進んでも良いと思っています。この学科では気付き、考え、他者とともにその考えを深めて前に進んできます。どんな業界にも未来志向の面白い技術があるはず。いろいろなことに気づき、どう活かせるのかを考えられるような素養を身につけて、社会人として活躍してほしいですね」そう語る両先生は、来年入学してくる1期生をイメージしながら、日夜、AIスマートアグリ学科での教育について考え、議論を重ね、着実に準備を進めていました。