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Report.4 國岡晃平さん

小さい頃から憧れていた

父親の背中を追いかけて農業の道へ。

規模の拡大と生産性の向上を図りながら

この地域の農業を守っていきたい。

 


 

國岡晃平さん

地域の青年農業者の会「栗山町4Hクラブ」の会長を務めています。「周りの仲間に聞いたりしながら、農業の情報をキャッチするようにしています。新しい技術やおもしろそうな取り組みがあれば、自分でも試してみたい、と思いますね」


 

父親のようになりたい

気づけば農業を志していた

 

栗山町の継立地区にある國岡さんの田んぼでは、黄金色に実った稲が収穫期を迎えていました。大型のコンバインを器用に操って、次々に稲を刈り取っていくのが、國岡晃平さん。父親である正好さんの跡を継ぐべく、8年前から家業の農業に携わっています。

晃平さんは、小学生の頃から「自分が父親の跡を継いで農業をやろう」と考えていたといいます。長男ということも理由の一つですが、何より大きく影響を与えたのが正好さんの働く姿でした。 「父は、北海道の農業者として初めて無人ヘリコプターのオペレーター資格を取るなど、新しいことに挑戦してきました。その姿を見ていて、農業には希望がある、自分もやってみたい、と憧れのようなものを持つようになりました」

晃平さんは地元の高校を卒業後、北海道立農業大学校に進学。稲作経営専攻コースで2年間、稲作の技術と農業経営に必要な知識を学びました。「全道や全国から集まってきた仲間との出会いは、貴重な経験でした。他の地域の実践例などを知って、世界が広がりました。今でも当時の仲間との交流は続いています」

 

●刈り取った籾は自宅裏にある施設で乾燥、籾摺りを行ってから出荷。直売する分は、米の味わいを守るため、注文の度に精米をしています。

 

●イベントなどで消費者の「おいしい」という声を聞くことが、農業のやりがいにつながっています。

 


 

試行錯誤を繰り返すなかで

農業の難しさと魅力を知った

 

大学校を卒業後、20歳で実家の農業を手伝い始めた晃平さんですが、当初はイメージと違うことばかり。とまどいの連続だった、と笑います。例えばトラクターの操作ひとつにしても、正好さんが作業をする様子を見てはいましたが、実際に自分でやってみてその難しさを思い知ったそうです。「父親の偉大さと、どれほど努力をしているのかということに気づかされた」と、当時を振り返ります。

6年前には無人ヘリコプターのオペレーター資格を取得。今では操作にも慣れ、正好さんと同様に、継立地区の共同防除などで活躍しています。栗山町の若手農業者の会では会長も務めるほど、地域農業の担い手として期待されている晃平さんですが、それでも「自分はまだまだ駆け出しの下っ端」だといいます。 「去年が良かったからといって、今年もうまくいくとは限らない。あらゆる手段を講じてはいるけれど、100%のものはできない。それが農業の難しいところだし、新たな目標にもなっています」

そんな晃平さんが大切にしているのが「人とのつながり」です。農産物を購入してくれる人、農業をサポートしてくれる人、そして同じように農業を営む人たち。特に同年代の仲間とは互いにアドバイスをしたり、農作業を手伝ったりと、助け合うことも多く、ほかの生産現場を見て学ぶ機会にもなっているそうです。

 

●収穫期を迎えた田んぼでは、晃平さんが大型のコンバインで稲の刈り取り作業を行っていました。栽培品種は「おぼろづき」「ほしのゆめ」のほかに、酒米の「吟風」などを手掛けています。

 


 

新しい試みも取り入れながら

未来に続く農業をめざす

 

農業に携わるなかで、挑戦してみたいこともできました。それは水稲の直播栽培です。育苗や田植え作業をなくすことで、農作業にかかる負担を軽減できると注目されている技術で、北海道でも少しずつ普及が進んでいます。継立地区は土壌の性質から、直播に向かないとされてきましたが、基盤整備事業によって水はけが改善されることになり、直播栽培も可能になると期待されています。

晃平さんが新しい技術の導入をめざす背景には、営農規模の拡大と近隣の農家の減少があります。國岡農場の主要作物の作付け面積は、水稲が20ヘクタール、秋まき小麦が8ヘクタール、大豆が6ヘクタールと、総面積で北海道の一農家当たりの平均を上回っています。これは従来から規模の拡大を図ってきたことに加え、離農する農家から引き継ぐ農地が増えているため。現在の家族経営というスタイルで農業を続けるには、作業の効率化を図り、負担を減らす必要があると晃平さんは考えています。

「親がそうしてくれたように、子どもたちに農業は楽しい、と伝えることも自分の役割だと思っています」。親が農業を営んでいる同級生たちの多くが札幌に出てしまい、跡を継がない実状を見て、「自分がこの地域の農業を引き継がなければならない」という思いを強くしてきたという晃平さん。仲間の農業者と共に小学生を対象にした食育活動などを通して、農業の大切さや魅力を伝える取り組みも続けています。地域の農業を守り、未来につなげていくために、晃平さんは希望のある農業の在り方を求め続けています。

 

●晃平さんが「偉大な人」と評する父親の正好さんは、無人ヘリコプターの農業者オペレーターとして、北海道では草分け的な存在です。

 


 

サングリン太陽園技術情報誌「太陽と水と土」84号「北の農業人」より転載