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第2話・反転耕起から非反転耕起へ

前回の記事では、リジェネラティブ農業の原則をご紹介しました。理論としては農家にとって大転換のように聞こえるかもしれませんが、実際の現場では決して「ゼロか百か」ではありません。一歩ずつ、段階的なステップを踏んで進めていくものはポイントだと思います。そこで今回は、リジェネラティブ農業の第一原則である「土壌の移動を減らすこと」の実態に焦点を当てます。

言うまでもない当然の事実ですが、圃場の条件は場所によって劇的に変わります。例えば、北海道の十勝地方の土壌は、道西エリア周辺の農家が直面するものとは大きく異なります。リジェネラティブ農業は厳密なルールの集合体ではなく、地域に合わせて適応させるべき考え方です。どの耕作方法が必要かは、最終的にそれぞれの圃場レベルで判断を下す必要があります。

 

土壌耕作のスペクトラム
商業的な農業生産システムにおける土壌耕作は、土壌を動かす強度によって主に3つのアプローチに分類できます。

●反転耕起:最も作業強度の高いシステムです。プラウを用いて表土を深く強力に反転させ、かく乱します。

●非反転耕起:土を反転させずにほぐして混ぜ合わせるため、作業強度が比較的低いシステムです。25cmほど深くまでほぐすものから、作業深度を数センチに制限する『浅耕(せんこう)』まで、さまざまなバリエーションがあります。

●不耕起直播:土壌の移動を減らす最も先進的な形態であり、作業強度が最も低いシステムです。事前の耕作を行わず、未かく乱の土壌に直接種を播きます。

以下の図では、さまざまな土壌耕作システムをより詳細に紹介しています。
(出典:KTBL – Kuratorium für Technik und Bauwesen in der Landwirtschaft (2015) )

 

現場における実用的なアプローチ
実際の農業現場を見ると、重要な事実が見えてきます。慣行農家であっても、毎年すべての畑をプラウで耕起しているわけではありません。

同様に、長年不耕起栽培を実践している多くの農家も「可能な限り不耕起で、必要なときだけ耕起する」という実用的なアプローチをとっています。これには作物の種類が大きく影響します。小麦などの作物は不耕起システムで育てやすい一方で、北海道で広く栽培されているジャガイモのような根菜類は、土壌を耕さずに管理するのは極めて困難です。テンサイのストリップティル(部分耕)などの新たな取り組みは見られますが、不耕起のジャガイモというのは依然としてほとんど聞いたことがありません。

しかし、プラウによる耕起が必要かどうかの判断は農家によって異なります。この文脈で私が驚いているのは、母国ドイツで「プラウをもう使わない」というトレンドが進んでいることです。現在のドイツでは、プラウで耕起される畑は約40%にすぎません。わずか10年前は、ドイツの畑の約53%がプラウで耕起されていました。つまり、ドイツの農家のマインドセットに何らかの変化が起きたのです。そして、農機メーカーもこうした変化に適応しています。例えば、伝統的なプラウメーカーであったLemken(レムケン)社は最近、同社初となる不耕起播種機「Solitair NT」をリリースしました。

 

耕盤問題
私が北海道を訪れると、耕盤の問題についてよく耳にします。多くの農家がサブソイラーに頼り、プラウの耕起深度の下にできたこの硬い圧縮層を破砕しています。しかし、そもそもなぜこの耕盤は形成されるのでしょうか?そして、カバークロップの混播やミミズの力を借りて、これにどう対抗できるのでしょうか? 「ストリップティル」のような異なる耕作アプローチのメリット・デメリットを含め、この耕盤の問題については今後の記事で詳しく掘り下げていきます。