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第31話・メロンの半身萎凋病(ハンシンイチョウ・ビョウ) 後編
〜農学博士・児玉不二雄の植物の病気の話

前回(第31話・メロンの半身萎凋病 前編)の続きです。

 


 

《さまざまな植物を侵す病原菌》

病原菌は、Verticillium dahliae(バーティシリウム・ダーリエ)というカビです。つる割病の病原菌はメロンだけしか侵しません。つまり寄主範囲が狭いのですが(前回参照)、半身萎凋病の病原菌は寄主範囲がとても広いのです。メロンのほかに、スイカ、キュウリ、ナス、オクラ、イチゴなど40品種以上もあります(写真5、6、7)。そのほとんどの病名は半身萎凋病です。まれに病名の違うものもあります。

 

▲写真5 ナスの半身萎凋病:左半分の葉が萎れている(原図:田村修氏)

 

▲写真6 トマトの半身萎凋病:末期症状(原図:田村修氏)

 

▲写真7 キュウリの半身萎凋病:末期症状(原図:田村修氏)

 


 

《伝染経路と発生環境》

病気に罹って枯死してしまったメロンの体内(罹病残渣:リビョウザンサ)では、病原菌の微小菌核(ビショウキンカク)が無数に作られます。ほぼ球形で表面がでこぼこしており、約20~100μm(1/10mm)くらいの大きさです。この茶色~黒色の頑丈なかびの塊(カタマリ)は、土壌中で4~14年も生存します。そして好みの作物、つまり寄主植物の根からの分泌物に反応して発芽し、メロンに感染して発病させます。
育苗中の苗が感染すると、無症状の「感染苗」として本畑に持ち込まれ、本畑での大発生の原因となります。種子伝染もするといわれています。

 


 

《防除法》

輪作は有効な防除手段なのですが、メロン⇒トマトなどのように寄主植物を輪作に入れることは不可、更に苗床消毒の前作を確かめる事が重要です。ナス、トマトなど(寄主植物です!)を栽培した後のハウスでの育苗も避けましょう。施設栽培では苗床・本畑ともに太陽熱や薬剤による土壌消毒が有効です。

 


 

今回のキーワード:萎凋、微小菌核、維管束、感染苗

 

■執筆者プロフィール

児玉不二雄 Fujio Kodama

農学博士。北海道大学大学院卒業後、道内各地の農業試験場で研究を続け、中央農業試験場病理科長、同病虫部長、北見農業試験場長を歴任。その後、北海道植物防疫協会にて、会長理事等を務めた。

45年以上にわたって、北海道の主要農産物における病害虫の生態解明に力を尽くし、防除に役立てている植物病理のスペシャリスト。何よりもフィールドワークを大切にし、夏から秋は精力的に畑を回る。調査研究の原動力は、“飽くなき探究心”。

 

※本コラムの内容は、2009年よりサングリン太陽園ホームページ 「太陽と水と土」に連載しているコラムを加筆・修正したものです