Report.23 石狩みのりファーム
30代で選んだ生産者の道
ミニトマト愛好家の想いが詰まったミニトマトとジェラート
石狩みのりファーム
代表 佐々木 洋実 さん
2021年4月、地元である石狩市で異業種から新規就農を果たした。栽培品目はミニトマトとブロッコリーで、6次産業化や農福連携にも力を入れる。
2022年には、規格外となってしまったミニトマトを有効活用した「農家のアイスGELATOMA (ジェラトマ)」を開発。同年に開催された第30回北海道加工食品コンクールで会長賞を受賞するなど、話題を呼んでいる。
異業種出身の佐々木さんが見つけた、農業という選択肢
道内の一大消費地である札幌市に隣接し、都市近郊型農業が展開されている石狩市。八幡町高岡地区にある石狩みのりファームには、設営中を含む14棟のビニールハウスが建ち並んでいます。主な栽培品目は、佐々木さんの大好物であるというミニトマト。全14棟のうち1棟でブロッコリーを栽培しているほかは、すべてのハウスでミニトマトを作付けし、現在20品種以上のミニトマトを栽培しています。
数年前まで専門学校の講師やバーテンダーとして活躍していた佐々木さんは、子育てが一段落した頃、転職を検討していました。「自分の頑張り次第で長く続けられる」「ものづくりができる」「将来的に独立できる」仕事を求めていたところ、特に目を引いたのが農業研修生の募集だったといいます。「当時は生産者になるための研修があることを知らなかったので、未経験でも農業を志すことができると知って驚きました。農業を生業とすることで、私が転職に求めていた条件すべてを叶えられると思ったんです。」
夢が膨らんだ佐々木さんは、まずはチャレンジしてみようと農業の世界に飛び込むことを決意。農業研修の受け入れ先を探すうち、2019年に地元の石狩市で研修を受けることが決まりました。
◯ 無類のミニトマト好きである佐々木さん。幼い頃から、のどが渇けばトマトを食べていたという
基本に忠実に、丁寧に育てる自慢のミニトマト
2年間の農業研修を終え、2021年に就農した佐々木さんのモットーは、先輩農家から教わった基礎を徹底すること。草取りなど地道な作業も、品質の良いミニトマトを出荷するために細部まで手を抜きません。また環境への配慮も忘れず、北海道独自の認証制度「YES!clean」で定められた基準よりも化学農薬の使用回数を削減して栽培していることも、石狩みのりファームの特徴です。佐々木さんによって大切に育てられたミニトマトのうち、メイン品種は農協を経由して道外へ、その他の品種の多くは石狩市のふるさと納税の返礼品として消費者のもとへと届けられています。
そんな石狩みのりファームでは、2022年よりスマート農業技術を導入し、栽培管理に活用しています。代表ハウス1棟に農業用センサーを取り付け、気温や湿度、照度などを常にモニタリング。自宅と圃場が離れている佐々木さんにとって、自宅にいる時間帯もハウス内の環境を確認できることが安心につながっています。また、センサー活用によって“農業の答え合わせができる”こともメリットに挙げる佐々木さんは、「センサーが示すデータと自分の肌感覚を照らし合わせ、農作業の感覚をさらに磨いていきたい」と意気込みます。データ分析によって栽培に適した品種を選抜し、ゆくゆくは石狩みのりファームの代名詞となるミニトマトを作ることを目標に、佐々木さんは昼夜労を惜しみません。
◯ 石狩みのりファーム自慢のミニトマトとロゴマーク。ロゴマークには、豊かな「みのり」に欠かせない要素がデザインされている (上から順に、太陽、ビニールハウスの骨組み、風、土壌、水)
「規格外のミニトマトを無駄にしたくない」
佐々木さんの実体験から生まれた農家のアイス
転職の条件のひとつに「ものづくり」を掲げていた佐々木さんは、自身の畑で出た規格外品を有効活用した6次産業化にも挑戦中。主な栽培品目にミニトマトを選択したのは、「一番好きな作物だから」という理由のほか、将来的な加工品の展開も見据えてのことでした。
研修1年目の2019年、規格外品のミニトマトを大量に廃棄する現場を目の当たりにし、「すべてのミニトマトを活かしたい」と思い立った佐々木さんは、ミニトマトを使用したカクテルを考案。そのレシピをもとに、「年代を問わずより多くの人に食べてもらいたい」と2022年に開発したのが、「農家のアイスGELATOMA」です。GELATOMAは2023年より本格販売を開始しており、徐々に人気を集めています。
GELATOMAの1番の特徴は、トマト果汁が原材料の40%以上を占めていること。果汁をたっぷりと使用しているため、トマトの風味がしっかりと感じられます。ほんのり甘いピーチシロップが青臭さを消し、トマトが苦手な方でも美味しく食べられる味付けに仕上がっています。シャリシャリとした爽やかな食感で、暑い夏にぴったりのアイスです。必要最小限の原材料で、できるだけ自然由来のものを使用していることも、佐々木さんのこだわり。「どなたでも安心して、美味しく召し上がっていただけるように試行錯誤を重ねました。野菜が苦手なお子さまのおやつに、夏場の水分補給に、ぜひGELATOMAを選んでもらいたいです」と話す佐々木さんの笑顔から、ミニトマトへの深い愛情を感じました。
石狩みのりファームの生産物およびGELATOMAは、以下の場所で購入することができます (2023年8月現在) 。最新情報は、石狩みのりファームのインスタグラムをご確認ください。
● 生産物 … 石狩市ふるさと納税、やさいバス、ECサイト、JAいしかり地物市場とれのさと、石狩市市民活動情報センターぽぽらーと
● GELATOMA … 石狩市ふるさと納税、ECサイト、JAいしかり地物市場とれのさと、石狩市市民活動情報センターぽぽらーと、道の駅石狩「あいろーど厚田」、北海道どさんこプラザ札幌店、北海道物産手稲マルシェ(自動販売機)、石狩市内の飲食店(Cafe Starting grid、あさ夕喫茶ぷらっと)
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