Report.13 酪農学園大学 塩川 蓮 さん
大学生活のほぼすべてを農業に捧げ、ひたむきに向き合う日々
さまざまな経験を通じて、新たな知識を得られる喜びはひとしお
酪農学園大学 農食環境学群
循環農学類 4年
塩川 蓮 さん
レタスの収穫量が日本一の長野県出身。
進学した地元の農業高校の先生がきっかけで、
北海道で農業を学ぶことを決意。
現在は、農場生態学研究室で
アスパラガスを研究中。
今回、SAc事務局では北海道で農業を志す学生を取材しました。
SAcステアリングコミッティメンバーであり、顧問を務めていただいている酪農学園大学園田高広教授のもとで学ぶ塩川蓮さんに、日々の研究内容や農業への思いを伺いました。
土に触れる機会が多く、自然と農業に心惹かれた幼少期
農業の幅広い分野に興味を持ったことが、現在の学びにつながる
― まずは、農業に興味を持ったきっかけを教えてください
私は長野県出身で、祖父母が米作りや少量多品目で野菜を栽培しており、親戚には県の特産品であるりんご農家がいるという環境で育ちました。小さな頃から農作業の手伝いをする機会があり、高所作業車に乗せてもらったことや、大型のスプレイヤーを近くで見せてもらったことを覚えています。両親から聞いた話によると、農作業をする祖父の後ろを小さなスコップを持ってついて歩いていたこともあるそうです。
両親が観光牧場に連れて行ってくれたことがきっかけで畜産分野にも興味を持ち、進学した地元の農業高校では畜産を主に勉強していました。
高校時代まで幅広く農業に触れる機会があったことで、作物の栽培にも畜産分野にも自然と興味を持つようになったのだと思います。
― 生まれ育った長野県を出て、北海道に進学を決めた理由は何だったのでしょうか
実は、通っていた農業高校の先生が酪農学園大学出身だったことがきっかけです。
当時、先生からは「北海道は雪が多いし寒さが厳しいぞ」と聞かされていました。実際に北海道に来てみて、冬の厳しさだけでなく、土地が広く農地の規模が大きいことに驚きました。
酪農学園大学循環農学類では、作物の栽培や園芸、畜産の分野まで、授業や実習を通じて幅広く学ぶことができます。
入学当初は高校に引き続き畜産を専攻したいと考えていたのですが、講義を受けるうちに作物の栽培についても知識を深めたいと考えるようになりました。
現在は、園田高広教授の農場生態学研究室に所属し、アスパラガスの研究に取り組んでいます。
― 現在取り組んでいる研究内容について教えてください
私は「アスパラガスの新品種開発」をテーマに研究活動に取り組んでいます。
1棟のビニールハウスの管理を任されていて、ハウス内に植えられた12系統のアスパラガスの栽培や、収量調査や生育調査を行います。自分の手でアスパラガスを栽培しながら研究を進めるため、栽培の実践的な知識だけではなく、植物の病気や施肥に関する知識も身につきました。農業の基礎知識を広く学ぶことができ、品種や系統ごとの生育の違いを直に見られることに面白みを感じています。
時には思いどおりに作業が進まないことや、農作業と並行して調査を進めることに苦労することもありますが、仲間と協力しながら作業する時が一番楽しいです。前向きに研究活動に取り組めるのは、学びをサポートしてくださる園田教授や、私と同じように農業に関心を寄せる研究室のメンバーの存在が大きいです。不思議と作業に追われて大変なときほど、楽しく充実感を持って取り組むことができています。
● 塩川さんが管理するアスパラガスのハウス。
― 4年生で卒業研究が本格化していく時期かとは思いますが、研究室以外の時間はどのように過ごしていますか
限りある大学生活で自分の興味があることすべてに挑戦したいと考え、サークル活動やアルバイトでも農業に触れる毎日を過ごしています。
サークルは肉牛研究会とワインサークルに所属し、畜産と果樹栽培に携わっています。また、アルバイト先は酪農を専業とする農業法人を選択しました。
いずれの活動にも研究活動の合間を縫って精力的に参加しています。
「農業には人生を捧げたい」
大学生活を通じてますます強くなる農業への思い
― 農業に没頭する大学生活を送る塩川さんですが、卒業後も農業と関わる仕事に就くのですか
はい。農業には人生を捧げたいと考えています。
幼い頃から抱いていた農業への興味は、勉強や農作業の経験を積むにつれてますます強くなりました。
卒業後も何らかの形で農業と関わりながら生きていきたいと思っているのですが、自分がどのような仕事を選択し、どのような角度から農業に関わっていくかどうかはまだ迷っているところです。
― 最後に、充実した大学生活を通じて学んだことを教えてください
私が大学に入学して実感したことは、大学生活を充実させられるのは自分自身の考えと行動次第だということです。
酪農学園大学には、農業のどのようなことにもチャレンジできる環境があります。大好きな農業を学ぶことのできる環境で何もせずに大学生活を終えるよりも、疲れ果てるくらいまで好きなことに取り組んでみたいと思い、充実した毎日を過ごしています。
研究活動に加えてサークル活動、アルバイトと、今の生活は充実という言葉の範疇を超えてしまっているかもしれませんが、ここまで農業に専念できる生活や環境にとても満足しています。
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